ふたご誕生
双子誕生前日(3月7日)
1月15日から、私は、切迫早産、双胎間輸血症候群(これは大丈夫だった)の
疑いがあったため、管理入院と言う名の元に病院のベッドに縛り付けられていた。
安静度は、フロア内のみ歩いてよいという、ほとんど寝たきり状態だった。

今日は、35週の妊婦検診。
エコー見たら、「やっぱり治ってな〜い」、とほほ
逆子を治すお灸もがんぱったのにいまだ二人とも逆子状態。
二人ともパパに似たのか意地っ張りなんだから。

多胎の場合、逆子体操って厳禁なので、お灸のみが頼みの綱だったのだ。
どうしても自然分娩で産みたい!と思っていたが、私はとうとうあきらめざるをえなくなった。
「帝王切開かあ・・・」
第二子のほうが出産楽なはずだったのに。
第一子を楽に産んでいた私は、どうも納得できないーっ!

手術の説明を受け、
主治医の先生曰く、「おへその下を5〜6cm切るだけですよ。」、
承諾書を渡され、来週か再来週くらいに出産しましょうと言われ、その心積もりでいた。
今日は最後のウテメリン投与。
あさってからは臨月、
安静もとけて動き回ってもよいという許可が下りる予定だった。
「やった。これでトイレ以外のところに歩いていってもいいのね。」
「売店にも堂々と行けるし、プリンもアイスクリームも買えるわ。」
この時は、まさか、まさか明日産まれてしまうなんて、夢にも思っていなかった。

双子誕生(3月8日) 
朝のモニターで、あれ?、陣痛間隔が5分?、ん?
自覚症状は、あるんだけれど強く感じられない。
「お昼にもう一回モニターをとって見ましょう」と言われた。
急遽ウテメリン投与。でももうきかない〜。
「パパに電話しなくっちゃ!」

ママ「昼のモニターで、朝と同じ結果だったら、今日、生まれちゃうみたいだよ。」
パパ「ええっ?もう生まれちゃうの??」
    「だって昨日は先生が早くても来週って言ってなかった」
ママ「も〜、何でもいいから、ハンコ持って早く来て!」

そういえば手術の承諾書まだハンコ押してなかったのだ。

昼食は禁食。その間、モニター。
もう陣痛間隔5分はきってるぞ。やばいやばい。
パパ〜早く来て、っとに間にあうんかい?
経産だから、お産の進みの速いこと速いこと。
2時間後、パパと「将」が病院に到着。
ふたりの顔みたらなんだかほっとしちゃって。
ますます陣痛強くなって、いきなり2分間隔。
内診したら、もう子宮口もほぼ全開なので、産むしかない、と言われ、
哀れ、私は車椅子で陣痛室に運ばれてしまった。

双子誕生(3月8日) 陣痛室にて
陣痛室で、うなっている私に「将」が、
「ねえねえ、ママー、あっちに遊びに行ってみようよ。」
おいおい、この緊急時にそんなこと言われたってね〜、
歩いたら破水しちゃうじゃないの、
私は笑いながら陣痛に耐えていた。
やっと手術の準備が整って、いよいよ手術室に。
「ママ、がんばってね。」
「将」は大声で叫んでいた。
「将」のひとことで、どれだけ気持ちが救われたことか、
とうとう、わたしは車椅子で手術室に連れて行かれた。

双子誕生(3月8日) 手術室にて
看護婦さん曰く、「はい、ぜんぶぬいでそこに横になって。」
「え?手術着とか着ないの?それに先生(男)そこにいるのに?」
とか思ったけれど、陣痛けっこうきつくて
もうどうにでもなれ、って感じ。
初めての手術、ちょっと怖いな〜。
「あのー、すみません、私お腹切るの初めてなんです。」
「怖いから手握っててください。」
助産婦さんに、こんな無茶な事を言ってしまった・・・。
私の記憶だと、
産科の先生が3人、小児科の先生が1人、助産婦さん3人くらいいたかな。
皆マスクしてて手術着を着てて、(当たり前なんだけど)なんだか怖い。
双子でしかも早産なので、余計に緊張する。
点滴打って、腰椎麻酔、
「お腹を抱えるようにして身体を丸めて」、って言われたけど、
腹囲103cmになっていた私にはそんな事できるかーとも思ったけど
ちょっとでもいわれた姿勢に近づくよう努力はした。でも、ちと辛かった。
意識しっかりしてるんだ、帝王切開って。
お腹切られているって感覚は無かったけれど、
お腹の皮をぴーっと引っ張られたような感じはした。

双子誕生(3月8日) 出産
15分後くらいに
お腹の右側が突然軽くなる。
「一児出産。女の子。(まど)」おぎゃーと聞こえるまで、2秒くらいあった。
更に1分後、
今度は左側のほうが軽くなる。
「二児出産。女の子。(はる)」ふたりとも同じ顔して泣いてた。
将とよく似てて可愛いぞ。え?女の子?男の子じゃなかったのね。
先生、男の子って言ってなかったっけ?あれ?

早産だったけど無事生まれた。あー、よかった。涙が出てきた。
「二児ちゃんがちょっと小さ目なので未熟児室でお預かりします。」
「えっ、どれくらい小さいのですか?」
「2200グラムなので、そう心配は無いですが、念のため入院です。」
ふー、たいしたことないんだ。よかった。
でも、うちの家族アナウンスで呼ばれてる。ちぇっ。どこ行ってるんだ?
あたしゃ、一世一代の大仕事したのにさ。
それもパパがずっと欲しがってた女の子産んだのに。


未熟児室
早産でちょっと小さ目だった「はる」は、1週間、未熟児室に入院した。
このころから?おっとりとした「はる」は、ミルクを飲まないでひたすら眠ってばかり。
だから、鼻やら口やらからチューブを入れられて無理矢理飲まされていた。
「この子は、ちゃんとおっぱい吸えるようになるのだろうか?」
私は心配でたまらなくて、わーっと泣いてしまっていた。

ここは、なんとも特異な空間のような気がする。
我が子を抱っこするために、何度も手を洗い、消毒し、何度も靴を履き替え、
着替えなければならない。まあ、それはそれで、そこまでやってくれている病院に
対して敬意を払わなくてはならないのだろうが、
我が子を抱くのに、あらかじめ予約をしなくてはならないのだ。
それも週に2回・・・そんなことってあり?なんだか悲しかった。
私はできるだけ母乳をしぼって、毎日毎回たった10ccでも、
「はる」のために未熟児室へ届けた。
とはいえ、術後の経過が悪かった私は、
看護婦さんに車椅子で未熟児室へ連れていってもらうのがやっとだった。

現在では、「まど」よりもよく食べ、よく飲む。バクバク大王となった。

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ほーむ

 

 

 

 

 

 

 

 

 


用語解説
管理入院多胎児妊娠に関わらず、妊娠中毒症等で食事療法やら安静が必要な時
      医師により、宣告される。
      これを宣告されると、まず途中での退院は不可能!
ウテメリンお腹の張りを抑える薬、陣痛を抑えるお薬です。
モニター分娩監視装置、陣痛の間隔、胎児の心音をグラフにしてチェックする機械です。
      別名(チャンピオンベルト)