双子妊娠発覚

1997年8月。新潟県、長岡の花火を家族で見に行った。
3歳になったばかりの将は、「どかーん」と叫んでは大喜び。
この春、おむつがとれて、そして3歳、子育てもチョッピリ
楽になったな、そろそろ2人目が欲しいな、なんて
思っていた頃である。
東京に帰ってきたその日、妊娠検査薬を使ってみると
「ああ、やっぱり。パパ、二人目できたみたいだよ。」
「次は女の子がいいね。で、ピラピラのお洋服着せるんだ。」
「将は、やきもち妬くんだろうな。」
「きっと、良いお兄ちゃんになってくれるよ。」
なんて、優雅な会話してたりした。

数日後、将を出産した産婦人科へ行く。
「おめでとうございます。今、妊娠5週目ですね。予定日は来年の
 4月6日です。桜の咲く頃です。」と先生。
「わーい、二人目だ!春生まれか〜。4月生まれか、そうすると
将と4学年違いだ。3月生まれになっちゃうと、3学年違いで
学費大変だなー。」

 
そう、この頃は、まだ『双子』の「ふ」の字も出てこなかったんである。
まさか、『双子』が授かっていようとは夢にも思わなかったのだ。

翌週くらいから、つわりが始まった。
将のとき(食べられないし、胃液を吐いた)と違って、「食べられるんだけど、全部戻した」。
(お食事中のかた、ごめんなさい)<(_ _)>
同時に、めまいがひどくなった。
仕事をしていた私は、通勤途中の駅で何度か倒れた。
「これは、きっと妊婦特有の貧血なんだ。」ずっとそう思っていた。
目の前が真っ暗になるのと同じに、ぐるぐると景色がまわっていた感覚があった。
きっと倒れるときは、バレリーナのように回転していたのかも、なんて
バカな考えまでしていた。
次の妊婦検診のときに、めまいのことも相談してみよう…

そうそう、めまいって、「耳鼻科」にかかるって知ってた?
私はこのとき初めて知ったよ。

1997年9月、
日ごとに、つわりがひどくなって、私は酔っ払いのように、
病院のベンチで横になって、検診の順番待ちをしていた。(^^;
パパは、この日、将の3歳児検診に行っていたので
私一人で這うようにして、産婦人科へ行ったのを覚えている。

「つわりは、仕方ないと思って我慢できるんですが、
 めまいがひどくて…。」
「めまいですかぁ?ちょっと珍しいですね。」
なんて、会話を先生としたと思うが、グロッキーな私は
しっかりした記憶力なんて持ち合わせてはいない。

「じゃ、内診しましょうか。」
内診すると、余計気分悪いよな…
(内診が好きな人はいないと思うけど)
まだ妊娠のごく初期というのは
お腹にエコーをあてるのではなく
膣内のエコーで検査するんである。
「ああ、卵巣すごく腫れてますよ。以前の妊娠のときもそうでしたね。」
と分厚いカルテを見て、先生答える。
「卵巣これ以上腫れたら、切りましょう。20週くらいに手術しましょう。」

ええー???じゃ、私は3人目が欲しくなったら、産めないの???

「いえいえ、卵巣ちゃんと残しますから。ただ、腫れた卵巣が重たくなって
 頚捻転すると即手術になりますから、そうならないように静かに生活
 してください。」
「ハイ…」手術なんて、夢にも思わなかった、ものすごいショックだった。
会社の休暇だってあんまり無いのに、2週間入院となると、けっこうきついな…
なんて、頭の中をぐるぐる駆け巡っていた時である。先生が突如、

「あれ?あれ???頭が二つ???」

先生ーーーー、今度は「
なんなのーーーー????」私は半泣き状態。

双子だ……」と先生つぶやく。

「は?」
「双子ですね。おめでとうございます。」
「ふたごぉーーーーー????????」
周りにいた看護婦さんたち、エコーを見に来る。
おいおいひどいじゃないの、私は内診台の上だぞ(ToT)。
「あらー、双子なんて。いいわね。うらやましいわ。」
「ほんとね、ふたり仲良く入っているのね。」

あの…
この時、私は正直頭の中真っ白だった。
手術、双子。そんなこと一遍に言われたってね。

内診台からおろしてもらって、先生の説明を受ける。
「ひとつの胎のうに、ふたりの胎児なので、一卵性だね。」
「あのー」
「あ、ウチは双子の分娩やってないから、よその病院に変わってくれる?
 えっと、広尾の病院紹介するから。あ、広尾で大丈夫?」
「あのー」
「双子だから、ホルモンが倍分泌されているんだよね。
 だから卵巣も異常に腫れているのかも、めまいも
 ホルモンのアンバランスから来るものかもしれないね。」
「あのーーー。先生ー。(;;)」
「双子は妊娠中も大変だし、30週くらいから管理入院することになると思うよ。
 早産で未熟児の可能性あるから、体大切にしてね。無事の出産を祈ってます(礼)。」
「あのーーーーー、ぜんぜえーーーーっ。(ToT)。」
「はい、何ですか?」
「(人の話聞けよ、もーバカバカ!)身内に双子って居ないんですが
 どうして双子なんですか?」
「これはね、えらいお医者さんでもわからないんだよね。
 一卵性は偶然の産物なんだよね。」
「偶然か…。」

一人っ子の将だけでも、涙なしでは語れない(また後日)怒涛の育児だったのに。
双子なんて……どうなるんだ!!!!!!!!
双子を私一人でどう育てるの?仕事はどうするの??
30週で入院??将はどうするの?ママと離れて暮らすなんてできるの???(ToT)

正直、うれしい、という気持ちより、「どうしよう」って気持ちの方が大きかった。
人生30年やってて、この日は、最大のオドロキの日となった。

 

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ほーむ